張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

名ばかりの経営理念

以下の経営理念は何処の会社ものかご存じでしょうか?
「エネルギーの最適サービスを通じて豊かで快適な環境の実現に貢献します」
この「経営理念」は、私達のグループが、世の中に存在し、企業活動を行うのは何のためか、と言う存在意識を示したものです。「豊かで快適な環境」とは、便利で暮らしやすいだけでなく、心豊かで、自然とも調和した持続可能な社会と考えています。私達グループはお客様や社会のニーズを先取りした、エネルギーを中心とする様々なサービスをお届けすることで、そうした環境の実現に向け貢献していきます。

解りましたか?
この会社は今、世界中で最も注目されている東京電力グループの経営理念なのです。

「経営理念」は企業の経営において不可欠のものであることを機会ある毎に強調していますが、「経営理念」を作っても、トップ自ら率先垂範し実行に移さなければ、名ばかりので効果はゼロとなってしまいます。
東京電力も経営理念を策定した当時は全社員に浸透し、今日の基礎を築きましたが、時間が経過するに従いオーナー経営者の意識が薄れ、自己保身が優先し、利益第一主義によるコスト削減が中心となり、最も大切な国民の命と言う危機管理が疎かにされてしまった。更に、地球温暖化の時流に乗って、クリーンエネルギーは原子力というキャンペーンまで行い、徹底した宣伝を行ってきた。

事故発生後、東京電力は未曾有の事故に対して「想定外の事態」と繰り返してきた。想定外の事態ならば免責されるのか。想定外の事態に対処することこそが「危機管理」ではないのか。かつて、広島・長崎の原子爆弾被害者である日本は、世界で一番原発に対して神経過敏でなければならないにもかかわらず、有識者が危険を指摘しても絶対安全と言い切って相手にしなかった結果が、今日の世界的危機を生んでしまったのである。

時の経過に伴い「経営理念」の原点を見直す重要性を示唆している。また、危機に対処するリーダーのあり方について反面教師として学んでもらいたいものである。

「経営理念」を掲げている会社ですら油断をすると、取り返しの付かない事態を招いてしまう恐れがある。ましてや、今日まで「経営理念」すら考えない企業はどのように経営したらよいのでしょうか。結果は「対症療法」に追われ、今日の政府のように後追い対策に四苦八苦して、本来の実力を発揮できない状態が続くことになる。