張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

デフレ時代を生き抜く疑似出血の活用

あらゆる資源の高騰が続く反面、消費者物価は依然低迷を続け、いわゆる川上インフレ、川下デフレと言われ、中小・零細企業を直撃し業績回復が遅れています。このような時代には販売価格の見直しも必要になってきます。このときに必要な考え方は直接原価計算という方法です。会計には一般的に全部原価計算と直接原価計算という法法があります。私達が慣れ親しんでいる会計方法は全部原価計算方法で、直接原価計算は企業の内部管理に利用しています。

今回は、直接原価計算についてのお話です。この特徴は企業内の費用を変動費と固定費に区分することです。変動費とはご存じのとおり売上の増減によって変動する費用、則ち材料費と外注費です。固定費とは売上の増減に変動しない経費で、変動費以外の全ての費用を言います。具体的には人件費、償却費、金利負担等、期間によって発生する費用です。売上から変動費を控除したものが付加価値と言います。この付加価値から固定費を控除したものが純利益です。

それでは本題に入ります。仕入れ値段より販売価格を下げて売ることを赤字と言います。それでは販売価格はどのように決めているのでしょうか。市場価格が決まっているものは我が社で価格を決めることは出来ませんが、一般的には変動費+固定費+期待利益で決まります。

変動費以下で販売することを真性出血と言い絶対にやってはいけない販売方法です。ただし、売上高から変動費を控除し付加価値が確保できるならば場合によっては受注すべきなのです。確かに固定費を控除すれば赤字になる場合がありますが、受注を確保しなかったことによる固定費のカバーが出来ないために固定費分だけ赤字が発生してしまうのです。だから少しでも付加価値が得られるならば実践することも必要なのです。これを疑似出血と言います。シーズンオフの観光地の宿泊値引きとか、運賃割引など、この考え方の応用なのです。
この疑似出血の考えを理解しないで、赤字になるから仕事をしないと言ってかえって赤字を増加させているケースがありますので注意して下さい。

企業経営では付加価値増大も大切ですが、もっと大切なことがあります。それは売上に対する固定費を下げることなのです。固定比率を下げることが最も基本です。だから疑似出血してでも売上を確保することがデフレ時代には必要なのです。
ただし、これは値引きを奨励しているものではありません。出来ればオンリーワンになって我が社で価格が決定できるようにしたいものです。