張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

売上の低迷と機会損失

機会損失と言う概念は、既にご存じと思いますが、再確認のために定義を致します。
機会損失とは費用概念の一つで、実際に取引を行って発生した費用ではなく、最善の決定をしなかったために利益を得る機会を逃した場合の費用概念です。一般的には「得べかりし利益」とも言われています。

それでは売上低迷と機会損失はどういう関係なのか具体例で説明します。
今年の冬は昨年の猛暑の反動で、異常な低温状態が続きました。当然冬物衣料や下着類が売れて、増収増益と思いきや、売上低迷に陥っていて、PB商品の販売不振、靴下・下着類も販売不振と報道されています。急成長したユニクロヒートテックに触発されて各メーカーが競って高機能繊維を開発して販売しました。ところが折角の高機能繊維を使った商品が、末端の小売り段階で品切れ状態が続き、機会損失を発生させてしまっていたのです。

小生の小売業に対する持論は、従来の物品陳列商売から情報発信基地への質的転換が不可避と考えているからです。デフレ時代の物あまりの中では、ただ商品を陳列しているだけの所には足を運びません。物が余って買う必要性がないからです。ところが新鮮な情報を発信している所には興味を持って向かい、期待値に合えば購入するパターンが一般的になってきました。

今年のヒット商品は「光電子繊維」を使った、下着類や靴下です。「光電子繊維」とは、体温を吸収して遠赤外線に変え、再度、身体に送り返す能力に優れたセラミックを繊維に織り込んだ素材とのことです。
低温状態が続いたため、体調管理のため市内の大手衣料品取扱店に手向き、光電子繊維の特徴を説明し、案内を乞いましたが、一人として商品の特徴を理解している店員がいませんでした。仕方がないので靴下売り場に行ったら、目当てのレギュラーサイズがたったの二足だけ。後はLLサイズやSサイズが山のように詰まれていました。レギュラーサイズはここにあるだけで補充は多分無理でしようと、当たり前の返事でした。売れ筋でない商品を山に積んでも何の効果もないことさえ考えない鈍感店員の存在にびっくり仰天。

折角、メーカーが高機能繊維を開発しても、それを消費者に大々的にPRする努力もなく、売れ筋商品の欠品にも何の反省もなく、無関心な店員が存在する限り、機会損失は増大するばかりです。これは店員が悪いのではなく徹底したリストラによって有能な店員を失ってしまったことに気付いていない経営者の責任と言って良い。この傾向は松本店ばかりではなく豊科点も同様でした。
ネットで調べたら販売不振による業績低下と出ていました。

機会損失という概念は流通業ばかりではなく全ての経営に共通する課題ですから情報収集には気配りが必要です。