張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

不正の温床はトップにあり

最近、長野県建設業厚生年金基金で23億円超の不明金が発覚し、資金担当者が行方不明となっているようです。報道によると、資金担当者は数年、毎月のように海外渡航を繰り返し、平日を含め業務外で渡航していたと言われています。マスコミは不正資金の流用をした資金担当者の犯罪性ばかりを追求しています。確かに犯罪を犯した本人の責任は重大ですが、ビジネスの常識では、上記の事実関係があるにもかかわらず、何のチェックも行わず見逃してきたトップの責任はもっと重大です。無責任体制の本質を追究せずに結果だけを報道する姿勢には疑問を感じます。

何故、このような不正が起きるのでしょうか。仕事を与えるための基本原則を無視するからです。原則とは何でしょうか。とても簡単です。曰く「仕事に人をあてがい、人に仕事をあてがわない」事です。

例えば企業にとって血液と言われる資金管理業務について。資金管理は不正が起こりやすい業務です。だから資金管理業務を行わせるためには、内部牽制が不可欠となり、そのために人をあてがいます。ところが人に資金管理業務をあてがうと、その人が中心となってしまい、いつの間にか任せるという体制が出来上がり、信頼して落とし穴にはまってしまいます。

今度は社内にIT化を進めるとしましょう。一般的にはIT化の目的、方法、到達点等を予め決めてからふさわしい人を付けます。ところがITに詳しいと言うだけで何の方針も与えずに任せてしまえば、任された人は独自のシステムを作り上げてしまい、その人がいなければ組織が円滑に動かないという弊害を生んでしまいます。またこのような人は独自のノウハウを他人には公開しません。なぜならば公開してしまえば自分の存在意義が失われてしまうと言う恐怖感があるからです。企業の中にはこのような弊害でトップが苦労しているケースが多々あります。全ては仕事の与えかたの基本原則を無視したからです。
人を使うという事はトップの専権事項なのです。この専権事項を駆使して作った組織をチェックするのもトップの重要課題なのです。だから部下の不正を放置したトップの資質に温床が潜んでいたのです。