張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略なき事業仕分け

昨年から今年にかけて現政権の事業仕分けがマスコミの話題となりました。まるで水戸黄門が葵の印籠を翳して、悪代官を退治する勧善懲悪のストーリーに多数の国民は溜飲を下げました。ところが直近の事業仕分けでは仕分け人と各省庁の大臣とが衝突し、党内に亀裂が走るようになってしまいました。事業仕分けではいわゆる霞ヶ関埋蔵金の発掘が中心となってしまい、結果としてたいした効果を挙げることなく、党内亀裂を残したまま終わってしまった感があります。

何故、事業仕分け劇場が尻切れトンボに終わってしまったのか。そこには戦略を明確にせず戦術だけに終始した結果であることが明白です。
本来、民主党マニフェストでは諸悪の根源である特別会計207兆円を一般会計化し、国民の監視の下で運営する方針でした。この方針に従って、一般会計化にするための法整備が主目的であったはずです。ところがいつの間にか主目的を忘れ、枝葉末梢の各省庁の無駄遣いに主眼が移ってしまった。無駄遣いの削減に異議は唱えないが、目先の損得だけが中心となってしまい、長期展望の視点が欠落してしまった。スーパーコンピューター開発で、何故一番でなければならないのか。の問いが話題にもなりました。日本国の将来のために今何が必要か。と言う観点が欠如した結果です。

民主党は官僚主導から脱却し政治主導で政治を行うと宣言しています。果たして実際の行動はどうでしょうか。まるで政治主導とは真逆の政策を実行しているのです。
我が国の財政民主主義の予算原則では、予算の内容が明瞭且つ正確で、しかも全ての国民に公開されなければならない。と言う規定が憲法に規定されているのです。ブログNO68参照。

曰く、憲法第83条で、国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。憲法第86条で、内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない。憲法第90条では、国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告と共に、これを国会に提出しなければならない。次に財務省組織令で財務省主計局は国家予算の査定及び作成を主任務とする。と規定されているのです。

何を言いたいか。民主党は政治主導を宣言しながら、事業仕分けの行動は官僚主導の下請け機関としてしか機能していないと言うことです。事業仕分けは結果的に会計検査院の下請けであり、主計局の下請けなのです。これに異議があるならば憲法を改正し、組織令を改正してから行うべきではないでしょうか。現政権は口先が優先し、具体的な実行力が乏しいことが領土問題や外交問題で暴露されました。
戦略なき戦術は失敗し、戦術なき戦略は空想である。ことが実感されます。
事業の経営においても基本理念は同じです。他山の石として銘記しましょう。