張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

デフレがパラダイムシフトを誘発させる

パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが、革命的もしくは劇的に変化することを言う。(ウキペディアより)

平成16年1月実業之日本社発行の「世界デフレで甦る日本」の著者長谷川慶太郎氏は、1873年から1896年までの24年間人類が初めて経験した世界デフレについて次のように述べています。
この間にあらゆる面で価格が下落し、サービス料金も商品の価格も、更にまた地下も一斉に右肩下がりに連続して水準を切り下げていくという時代を経験しています。経済の閉塞感の中で技術革新エネルギーがマグマのように吹き出し20世紀発展の基礎を作ったと言います。詳しい内容は著書を参考にして下さい。

21世紀の今日、閉塞感を打破するための各種の技術革新が開発され、パラダイムシフトが現実のものになりつつあります。経営者は常にアンテナを高くしてパラダイムシフトが我が社に与える影響を考え、その対策を長期的に考えなければ時代の流れに押し流されてしまうと言う危機感を持つべきです。

月刊誌「選択」11月号に「繊維対鉄鋼の最先端素材戦争」というタイトルで特集が組まれていたので紹介します。
ボーイング社の最新鋭中型旅客機「787」では胴体や主翼という航空機の根幹部分を従来のアルミ合金から炭素繊維複合材に置き換えた。比率は機体重量の50%以上となり、一機で35トンもの炭素繊維複合材を使う。衣料向けの合成繊維を事業の柱としてしてきた日本の繊維メーカーは今、高機能付加価値の素材メーカーに事業内容を急展開しつつある。炭素繊維素材は重さが鐵の4分の1から五分の一で、強度は鐵の3倍から10倍であり、生産コストを除けば圧倒的に優位性を持っている。これは当然自動車業界にも影響し、省エネ軽量化、強度化が一挙に進み、鐵素材の高騰化の中で追い風となってきている。

このことは、結果として加工技術の大転換を促し、従来の製造方法は一挙に陳腐化する事も視野に入れなければならない。これは自動車のEV化が加速化する中で、エンジンを中心とした車からモーターを中心とした車に質的転換が行われ、ガソリンから電気エネルギーへの転換が促進される。一方書籍関係でもスマートホンや電子書籍の開発で、書籍やビデオの流通形態が大幅に変更する事が目の前に来ている。

従来は同業他社の対策で可能であった経営が、今日では異業種が一挙に参入する環境の中で、経営者はこのバラダイムシフトを敏感に捉えて、我が社の安全経営を実現するために、積極的に対応してもらいたいものである。惰性が経営危機を招く根本であることを理解してもらいたい。