張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略無き国家の醜態

戦略とは読んで字のごとく戦いを略することで、今から2500年前の「孫子の兵法」の中で有名な言葉がある。孫子曰く、「百戦百勝は、善の善なるものに非ず、戦わずして人の兵を屈するのは善の善なり」に共通している言葉である。戦略とは豊富な知識と高度な知恵を使って方向性を示す作業である。

民主党政権は「国家戦略室」の設置で、国家運営の戦略を作成し、本年6月18日七つの分野において新成長戦略を発表した。しかし、中身を見ると国家百年の大計であるグランドデザインが皆無であり、七つの戦術が説明されているのみである。まさに「戦略無き戦術は失敗する」を地で行っているようなものである。

民主党政権にとって我が国をどのような方向に導いていくのかのグランドデザインが無く、戦術だけで対処しようとしているところに今回の迷走外交があるのである。
本来、領土問題というものは28年前のフォークランド戦争に見られるように武力で解決するのが歴史である。当時アルゼンチンが占拠したフォークランドはイギリスの領土であると互いに主張し合い、結果は武力で勝ったイギリスが領有権を主張し今日に至っているのである。

憲法9条で戦争を放棄した日本は武力以外で解決する高度な戦略を日頃から研究しておくべきであった。これを怠った結果が今回の「尖閣列島」問題に発展したのである。中国の古い文献からも「尖閣列島」は日本の領土として記載されているし、「尖閣列島」は埼玉県在住の個人所有の土地で、日本国が多額の賃借料を支払っている事実、今回の領海侵犯と衝突事件は何らかの意図を持って行った確信犯であり、ビデオの公開を行って、国際社会に堂々と主張すべきである。「尖閣列島」は我が国の領土であるといくら行ってみても世界には通用しないことを今回経験したことを肝に銘ずべきである。いずれにしても恫喝外交に屈した結果、国民の矜持を失い、国際社会に弱腰外交の醜態を晒してしまった。

しかも、検察庁談話として犯人を釈放する際にとんでもない間違いを犯し、国民から疑惑を持たれてしまっている。検察庁の業務は犯人の取り調べをしてどんな罪に該当するかを判断し、裁判にかける事である。しかるに、検察庁は「これは日本国民に大きな影響を与えるとか、今後の日中関係を考慮する」と説明してしまった。これらは本来政治が行うべき事であり、もしこれが事実なら政府の存在意義が問われてしまう。かような不自然さを国民に向かって説明する姑息さに国民が怒っていることを理解してもらいたいものである。
戦略・戦術問題は企業経営にとっても最重要問題であることを今回の事件を契機に学び取って欲しいものである。