張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

事業成功の秘訣は定義づけにありパート2

昨年の6月に「事業成功の秘訣は定義づけにあり」と言うタイトルで定義付けの重要性を2回に渡って解説しました。一年を経過した今日、デフレは更に進行し先行きの不透明感が増しています。このような時こそ定義付けの重要性が不可欠となっているのです。

本来、定義付けとは同業他社との差別化を図る意味で最重要課題なのですが、日本では統計局で発行している「日本標準職業分類」で分類する習慣が付いてしまい、事業内容は分かりやすい反面、他社との違いや事業展開の方向性が見えなくなってしまいます。

例えば、我が社の事業は、何々製造業とか、何々の卸売業とか、何々の小売業と言って、およそ差別化するための方向性を定義することからかけ離れています。

それでは事業をきちんと定義付けしたために、自社の使命が明確になり発想の転換で大成功した事例を紹介します。長尾一洋著「戦略の見える化」から抜粋。
その会社は「セコム」。元々は人材派遣型のガードマン会社で、当時は工場やオフィスなどにガードマンが常駐していた。生身の人間が見張る必要があったからである。このままでは人件費の高騰で生き残れなかったかも知れない。しかし、セコムは「ガードマンを売っている」のではなく「安全・安心を売っている」と定義づけた。このように定義づけると、別にガードマンを派遣する必要はない。センサーを付けておけば良いという発想に変わった。「人による警備」から「機械による警備」に戦略転換が出来、今日の成功物語を生んだのである。

次に定義付けの三要素をご紹介します。定義付けは結構抽象的で理解出来にくい面がありますが、三要素に分解すると解りやすくなります。①顧客・市場について②技術・ノウハウ③提供する付加価値の三要素です。
①顧客・市場については、どのような市場に対して事業を行うのか、誰に対して事業を行うのか。
②技術・ノウハウについては、どのような技術を活用して事業を行うのか、どのようなノウハウを利用して事業展開するのか。
③提供する付加価値については、どのような付加価値をお客様に提供する事業なのか。
以上の三要素を徹底して絞り込めば「定義」がより具体的になり、これが「経営理念」に発展すれば同業他社との差別化が明確となり安全経営が実現するのです。このような混迷の時代だからこそ原点にかえって「定義」作りに挑戦しましょう。後は行動あるのみですよ。