張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

主婦の素朴な一念が国を動かした。

平成22年7月7日付の朝刊各紙で重大な判決が出ていたことをご存じでしょう。「恣意的な行政をただした二重課税訴訟、国側全面敗訴」の見出しで、概要は以下のようです。
日経新聞より・・・死亡した人の相続人がもらう生命保険金は遺産と見なされて相続税の課税対象となり、所得税の課税対象から外れる。ところがその保険金を年金の形で分割して受け取ると、毎年の受給分は雑所得扱いで改めて課税されてしまう。長年続くおかしな課税実務に、亡夫の保険金の一部を10年分割で受け取りだした女性が異を唱え訴訟した。最高裁は、女性の訴えを認め1年目の保険年金に所得課税をしたのは違法・無効とする判決を出した。いわゆる二重課税問題の敗訴である。(2年目以降の課税の有無については取り扱い未定)

税法を含めた法律は、普通の人間が作るから国民が持っている普遍的な常識の範囲内で立法するのが建前である。しかし、国家財政の確保が前面に出すぎると、今回のような解釈がまかり通ってしまう危険をはらんでいる。国税当局は恣意性のない、公正で納税者に解りやすい税法を運用しなければ、痛いしっぺ返しを食らうと肝に銘じなければならない。と記事に書いてあります。

正に素人の素朴な常識がプロ集団に打ち勝った典型的な事例です。プロは改めてリーガルマインドの原点に戻り、国民の為に貢献する姿勢を正さなければならないことを教えています。肝に銘ずるべきです。

税法の不自然さの中で平成18年4月に改正され、あまりにも不合理と言うことで平成22年に廃案になった「オーナー社長の給与の損金不算入」制度があります。基本的には役員給料は原則として損金不算入、特定の条件を満たした場合のみ損金算入という変な法律でした。役員給料が損金不算入とは、世界中で、日本だけの制度で、税理士会の猛烈な反対と政権交代で廃案となりました。

もう一つ、銀行の振り込み手数料は3万円以上になると200円の印紙税がかかります。振り込み手数料105円に200円の印紙税、これに消費税がかかり315円となります。印紙税に消費税がかかり、これは明らかに二重課税です。
税法には恣意的な法律や解釈が、上記の例のように起こりやすい面があります。私たちは良心に従った普遍的な常識を持って是々非々で対応しましょう。