張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

体質転換の薦め

4月7日のブログで「不気味な胎動」というタイトルで、技術立国を誇ってきた日本の製造業が世界のマーケットで苦戦している様子を報告しました。その後、日経ビジネス4月19号に「間違いだらけの品質至上経営」として特集が組まれていたことをご存じでしょう。

これによれば、拡大する新興国市場に適した品質と低コストの追求を徹底しなければならない。従来の先進国向けの基準の内、何を残し,何をそぎ落とすか。消費者の真のニーズを把握し、サプライチェーン全体をゼロから再構築しなければならない。と。

高機能・高品質で売ってきた日本メーカーにとって、利益率が低い低価格品市場は最も苦手である。しかし、世界的なデフレ浸透と共に、低機能を武器にした新興国の製品との棲み分けは完全に崩れてしまった。ここに技術立国日本の成功神話は崩壊し、ビジネスモデルが変わったことに,柔軟な対応が出来なくなって、競争力が一挙に低下してしまったのである。

生き残る道は,新興国で通用する価格を武器に,徹底したコスト削減を図る以外に方法はない。そのためには,新興国の消費者がどの水準の製品を欲しているのかを把握し,それに合致するものをどうやって開発するかである。デフレ時代には高品質であるが高価格というビジネスモデルは通用しないのである。

一例として中国の自動車メーカーBYDをトヨタが分解して調べた結果、品質は日本車に劣るが,価格と品質のバランスは絶妙。技術陣は唸ったという。トヨタ車は高品質であるが,中国の大衆の目には割高に映っているのが現状である。

日本のように品質にうるさく,高価格が受け入れられる国には品質の高い部品を使う。一方、低価格品が主流の国で販売する部品は,より下のランクと言った具合だ。と報告している。

正に、経営とは「環境適応業」であると言われる所以である。時間あたりの賃金が世界一の日本で生き残るためには,コスト削減は当たり前、その上にお客様の目線にあった対応を柔軟に行うことが不可欠であることを教えている。我が社の品質は世界一だけでは通用しなくなったのです。