張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

不気味な胎動

胎動とは、新しい物事が、内部で動き始めること。また、内部の動きが表面化し始めること「大辞泉」より。
日本の製造業は自他共に認める日本経済の要です。高度な技術力を駆使して高品質な部品を世界中に輸出し、経済成長を支えて来たことはご存じのとおりです。

ところが、この技術立国に異変が起きつつあります。アメリカ発の金融危機の被害が、世界で一番少ないはずの日本経済が、何故ここまで落ち込んでしまったのか、その原因が最近解ってきました。

4月3日、多くの期待を寄せて発売されたアップルの最新鋭技術を駆使した多機能端末「IPAD」の売れ行きが好調です。最新技術の結晶である「IPAD」の部品は、当然、日本の高度な部品を使用していると思いきや、日本メーカーはエプソン村田製作所東芝のみで、ほとんどは韓国、台湾、ドイツ、アメリカの部品を使用しているのです「日経産業新聞3月30日」。

次に、日経新聞3月31日は、ホンダが部品調達先を世界で集約、新興国にシフト、と言うタイトルでコストダウンを図るため調達地域を日米欧から新興国に移行する発表がありました。当然、他の自動車メーカーも追随します。

更に、週間ダイヤモンド4月10日号に「日本勢2連敗の教訓」のタイトルで、日本が世界に誇る原子力発電技術が中国、韓国、ロシア、フランス、アメリカに受注競争で敗れている事実が記載されました。
環境保護の問題から、今や原子力発電が世界中の潮流になっており、技術力を誇る日本製造業がダントツの受注確保が出来るはずなのに、現実は先の国々に敗れているのです。

日本以外の国々は政府と一体となって輸出競争に励んだ結果、入札競争に勝ち抜いたと報道されています。日本政府の無関心が一つの原因になっているのです。
もっと根本的な問題点は、技術立国に胡座をかき、販売努力と今や潮流となっているコストダウンに積極的に取り組まなかったのが原因です。正に「成功神話は復讐する」の例えどおりになってしまいました。製造業は原点復帰が必須となってきたのです。
技術立国の強みが薄れて来たのが、経済落ち込みの原因です。官民挙げての再出発が不可欠でしょう。