張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

規制改革会議ついに幕

 規制改革会議の発端は、1996年に政府の行政改革推進本部に「規制緩和委員会」が設置され、委員長にオリックス会長の宮内義彦氏が就任した。ところが民主党に政権が交代したことにより本年3月31日限りで解散。その一部は行政刷新会議が担当し、環境、医療、農業の3分野に絞って取り組むこととなった。

 本来、規制改革会議は問題点の大きい「行政の改革」を行うために設置されたものである。ところがワーキンググループの中に諸悪の根源とまで言われている「市場原理主義者」が多数配置され、市場に任せれば全てが善で、規制は悪であるという思想の下、徹底した自由化が実践された。その結果弱肉強食が横行し、儲かれば何をしてもかまわない、と言う風潮が蔓延し、日本の良き伝統が、グローバル化と重なってズタズタにされてしまったことはご承知のとおりである。これが今日のデフレ不況と精神の荒廃の一因となっている。

 特に永年規制改革会議議長の宮内氏は「小泉規制改革を利権にした男」として批判され、任期途中で辞任し、「かんぽの宿」の買収でも問題点が多すぎるとして白紙撤回されたことはご存じのとおりです。
 確かに規制改革によって効果が出たことは事実である。大きなものでは「道路公団」の民営化、「郵政事業」の民営化があるが、これによって国民の利便性が向上したという結果は出ていない。むしろ「郵政事業」は見直しが決定してしまった。

 象徴的な出来事がタクシーの規制緩和で、参入が自由化された結果、タクシー台数は30%も増加し、過当競争となり、事故が多発し、運転手の年収は激減し200万円前後になってしまった。
 また、全国の病院で医師不足が問題となっているが、これも規制緩和の結果である。医師数は増加していながら医師が不足しているのは自由化した結果で、医師は働きやすい大都会の病院に集中し、地方の病院が統廃合の憂き目にあっている。
極端な「市場原理主義」の徹底は、国民を不幸にするだけであることは、今日の世界不況が証明している。