張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

平均値のからくり

 かつて「貯蓄から投資へ」の宣伝が盛んに行われていたことをご存じでしょう。このとき「日本人は自分で運用して増やすという意識が希薄だから、個人金融資産の大半は預貯金にまわされる」と言う類の話が横行し、同時に「アメリカ人は金融資産の5割を株式や投資信託に使い、大きなリターンを得ている」と宣伝し盛んに投資を煽り、それを信じて投資した人はリーマンショック以後大打撃を受けています。

 これは投資を煽るために、統計数字の平均値を使い誘導したものです。実は株式保有割合は日米とも15%程度で差異はないのです。

 この平均値の中身を見るとアメリカでは上位5%の資産家が保有する株式保有割合は80%に達し、50%未満では0.6%を保有しているに過ぎないのです。我が国では上位5%の資産家が保有する株式割合は49%で、50%未満の人たちが9%を保有しているのです。つまり、アメリカでは莫大な金融資産を保有している富裕層だけが株や投資を行っているのです。
 今回暴露された「賭博資本主義」崩壊の原因は、このあたりにあると考えられます。結果として日本人の多数の人たちが株式投資を行っているという現実が理解でき、「貯蓄から投資ヘ」の宣伝文句は意図的に誘導されていたことが判明したのです。・・・(小宮一慶の深掘り政経塾)より意訳して一部抜粋。

 平均値と言えば経営分析に使われている各種の指標は全て平均値で表示されています。売上総利益率とか、総資本回転率とか、純利益率等々。「率や回転」が上下したと言っても原因を追及するには平均値を使っても意味がありません。何故、悪化したのか、向上したのかの判断は中身を分析しなければなりません。「正規分布」とか「ABC分析」とか「年計グラフ」等を使って、ほんとうの原因を探り当て対策を立てるべきです。特にデフレスパイラルを乗り切るため、経営再建策の一環として活用しましょう。