張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

お金を使わず世の中を明るくする方法

 ちょっと専門的になりますが、法人税法第153条、所得税法第234条等で、税務職員の質問検査権が規定されています。曰く、「租税に関する調査について必要があるときは、納税者に質問し、帳簿書類を検査することが出来る」。この規定に基づいて税務職員は調査を行っているのです。
 しかし、この条文には問題が含まれているのです。「調査について必要があるとき」の必要があるかどうかは誰が判断するのでしょうか。今までの慣例では当然調査権を持っている税務署です。この条文だけでは、ともすれば行き過ぎの調査や強権的な調査が行われやすい要素を持っています。

 この弊害を除去し、真に国民の立場に立った税制に移行するため、民主党は先の選挙マニュフェストで「納税者権利憲章」の制定を宣言しました。曰く、議会制民主主義における税のあり方は、あくまでも税を納める主権者たる国民の立場に立って決められるべきものです。国民主権にふさわしい税制を構築していくため、納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するものとして「納税者権利憲章」を早急に制定します、と。

 先進国では当たり前の「納税者権利憲章」が日本にだけは無いのです。12月22日に発表された税制改正大綱で、「納税者権利憲章」の制定は一年以内を目途に結論を出すことになっています。

 ところが、政府税制調査会に提出された資料ではほとんど議論が行われず、中身についても骨抜きにされているようです。万一、国民が望むような「対等な立場」が実現されないようでは、民主党支持率は一挙に低下するでしょう。
 未曾有の不況で暗いニュースばかりが目立つ今日だからこそ、民主党が以前に国会提出した「納税者権利憲章」原案に基づいた法案を一日でも早く確定し、来年度の税制改正に間に合わせるべきである。

 国民目線に会った「納税者権利憲章」を制定することこそ、一円も使わずに世の中を明るくする方法なのである。劇場型「事業仕分け」よりも効果が絶大であることを認識し、後退することなく確実に制定する姿勢が民主党に寄せられているのである。来年度参議院選挙は、こんな些細なことが明暗を分けるかもしれない空気が漂っていることを理解して貰いたい。