張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

「坂の上の雲」から戦略を学ぼう

 今、司馬遼太郎原作のNHK大河ドラマ坂の上の雲」が人気上昇中である。松山出身の秋山好古・真之兄弟と正岡子規の活躍を描きながら、明治維新の揺籃期から次第に力をつけて世界の列強に名を連ねるまでを描いている。

 当時、世界の誰もが弱小国日本が世界の強大国ロシアに戦いを挑んでも勝てるはずがないと考えていたのである。結果は、海戦では戦史に類をみない完璧な勝利を日本にもたらしたことは歴史が証明している。
 何故弱小国日本が世界の強大国ロシアに勝てたのか。その背景には「日英同盟」の存在を忘れることは出来ないが、もっとも基本的なことは「戦略と戦術」が明確で、これを確実に実行したためである。「戦略と戦術」の考え方は、現在の企業経営にも活用できるので、その意味で大河ドラマを見てほしい。

 明治30年代、ロシア帝国不凍港を求め、満州から朝鮮半島支配下に置くため、次第にアジアに勢力を拡大しつつあった。朝鮮半島ロシア帝国に支配されると、日本は喉元に匕首を突きつけられた形になり、やがて日本もロシア帝国に飲み込まれてしまう恐怖感が募り、日本の生存を賭けて戦ったのが「日露戦争」である。

 日本の戦略は、弱小国日本が生き延びるため、短期決戦で戦力を五分五分までにし、国際世論に訴え、アメリカの仲裁によって有利な条件で停戦する。このためには資金不足の日本では外債に依存するほかなく、それを可能にするため緒戦で勝利を収め連勝気運を高める。満州出兵に対しては海上補給路を確保するため、まず旅順艦隊の撃滅、次いでバルチック艦隊の撃滅。その最中ロシアの国力を低下させるため当時の資金で億単位の資金を使って革命を起こさせる準備を「明石元次郎大佐」に指示して、ロシア革命を成功させた。

 中でも圧巻だったのはバルチック艦隊を全滅させた「T字戦法」というソフトの開発と、それを可能にした下瀬火薬の開発、伊集院信管、新型無線機の開発や、世界最高水準の高速艦隊運動等の高度な戦術によって戦略を実現させた。戦争を始めるに当たって、停戦を念頭に考えることは極めて重要で、大東亜戦争との違いが分かる。
 大河ドラマをこのような観点から見ると参考になると思います。