張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略なき事業仕分け(仕訳)の功罪

 11月27日、事業仕分けの全日程が終了した。国家事業約3,000件の内、約450件が仕分けの対象となり、当初予定額3兆円を下回り、1,8兆円の削減に止まったと報道されている。

 劇場型と言われるくらい効果があり、憲法の精神であるあまねく国民に知らせる姿勢は、かつての政権与党には期待できなかった新鮮さがイメージされたとともに、惰性で行ってきた予算編成が如何にずさんであったか国民の知るところとなり、政権交代の実利が解った。まるで水戸黄門が悪代官を退治しているシーンと重なり合い、国民の関心を引き立てた感がある。

 しかし、民主党政権になって、国家理念や戦略が確定しない中での今回の仕分け作業は、民間仕分け人に市場原理主義者が多数存在した関係から、経済合理性だけが目的となってしまい、削減だけがクローズアップされてしまった。本来ならば国家理念実現のために何を削減し、何を増額させるのかの判断基準が曖昧となりひたすら削減に注意が向いてしまった。

 今現在の対策は、ドバイショックの影響で、景気が底割れする危険が極めて高い現在、予算を景気対策にどれだけ向けられるかに重点を移し、国民を安心させる政策をどんどん勧めるべきである。コストカットだけでは景気は回復しないことに早く気づいて貰いたい。
 本来、予算は民間では採算に合わない政策を、税金を投入して日本の将来に備えるのが本筋である。それを経済合理性だけで判断すれば将来に禍根を残すことになる。

 マニュフェストでは国家の総予算207兆円を対象にしていたはずである。この中には悪名高い特別予算が入っている。この特別予算に手をつけずに一般会計予算だけに的を絞った関係で削減幅が1,8兆円に止まったのである。本来劇場型事業仕分け特別会計や独立法人に向けるべきで、これを行ってこそ政権交代の真の理解が得られることになる。しかも早く手を打たないと意味がないことを理解してもらいたい。そうでないとマニュフェストの真贋が疑われることになる。