張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

政権交代による陰の最大功績をご存じでしょうか?

 政治学者「小室直樹」先生の「憲法論」によると、憲法は国民を規制するためにあらず。ともすれば暴走しがちな国家の横暴から国民の生命財産を守るために作られたものである。と喝破しています。

 憲法第30条では「納税の義務」として、国民は、法律の定めるところに従い、納税の義務を負う。と規定し、これを受けて憲法84条で「課税の要件」として、新たに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件による。と明記し、いわゆる租税法律主義を定義している。

 「小室直樹」理論に従えば、これらの法律は国民を規制するためではなく、課税権を持っている国家を規制するためであるはずである。実際の税務行政は、いわゆる通達行政と言われ、行政庁のトップが下部組織に連絡する通達によって行われているという。

 課税権を持っている国家を規制するためであるならば、納税者を保護するための保護法が存在しなければならない。いわゆる「納税者権利憲章」と言われるもので、先進国中日本だけがこの「納税種権利憲章」が無いのである。政権が長く続くとこんな重大で基本的な問題が無視されてきたのである。

 民主党のマニュフェストでは「納税者権利憲章」の制定を謳っている。この中で、税務調査に関する事前通知と具体的調査方法が明記されている。曰く、税務調査は14日前までに書面で通知する。この際、調査を必要とする理由の開示、調査根拠となる法令の開示、調査対象科目の開示等が必要条件となり、この条件を満たさない限り、一般的な任意調査は出来ないこととなる。

「納税者権利憲章」の制定で、日本はようやく先進国の仲間入りが出来たことになる。事業経営者ならば、今までの課税庁のための税務行政から、国民のための税務行政への質的大転換を心の底から実感出来るはずである。政権交代によって時代が大きく転換する中で「納税者権利憲章」の制定は、国民側から見て最大の功績であると言われる所以である。

 政権交代で担当大臣の言動に新鮮な期待が高まりつつある今日、決して焦ることなく,地に着いた政策を確実に実行する度量を示し,付託に応えてもらいたい。