張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

余計なお世話です

 最近、とある会計事務所の団体が新聞広告を頻繁に掲載していることに気付いた人もいるでしょう。
曰く「この証明書は、会計帳簿及び決算書並びに法人税申告書の作成に関して次の事項を証明します」として❶当企業の会計帳簿は、会社法第432条に基づいて「適時に」作成されていること。❷この会計事務所の団体は、毎月、当企業を訪問して、巡回監査を実施し、月次決算を完了していること。❸決算書は会計帳簿の勘定科目残高と完全一致しており、別途に作成したものでないこと。❹法人税申告書は当該決算書に基づいて作成され、申告期限までに電子申告されていること。

 全国の登録税理士数は約七万人で、この内、件の団体構成員数は約一万人と言われている。新聞広告の文面からは件の構成会計事務所は、その他の六万人余の会計事務所より、質が高く、高邁な思想の元に結束し、正しい業務を行っていると宣伝している。これではまるでその他の六万人余の会計事務所が、不正に荷担し、真実を報告する義務を怠っていると言わんばかりである。

 ところで、数千年の歳月を経た中国古典をご存じでしよう。古典を紐解いてみると、恰も聖人君子の住んでいる国と思いこんでしまう。しかし、現実はご存じのように、法律無視の偽物天国でとても法治国家とは言えない。逆説的に考えれば、そのような国だからこそ啓蒙する意味で古典が生き残ったと言わざるを得ない。

 聖人君子の会計事務所であるならば、次のような現実にどう答えるのでしょうか。開業して第1号のお得意様になった企業が、時代の流れで業績が悪化。報酬を支払えなくなった途端に関与を打ち切られてしまった。しかも報酬未払金二百五十万円は先付け小切手で支払を要求して減額にも応じて貰えず今日でも支払続けていると言う。メイン銀行が困り果て、聖人君子の会計事務所でないところに相談して発覚。現在、役員報酬を全額カットしてまで借入金の返済に充てている誠実な企業と聞く。これが現実なのである。国家資格を与えられた人はもっと職業倫理に徹するべきでしょう。

 今日までの経験から、マスコミ等に露出度が高いところは、本当にそうなのかという疑問符を付け、冷静に判断することをお奨めします。