張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

戦略無き国家

 先月末、8月末日の総選挙に向けて自民党民主党のマニュフェストが公開された。驚いたことに両党とも最も重要な国家戦略についての説明が無いのである。日本という国家を将来にわたってどのような方向に進めていくかという希望に満ちたグランドデザインが無い。「戦略のない戦術は失敗する」と言う喩えどおりになりかねない。

 戦術については両党ともきめ細かく羅列して国民に政策を訴えているが、自民党のマニュフェストについて希望的な抽象論が多く具体性に欠けている。一方民主党政権交代を実現すべく、かなり思い切った政策提言を具体的に提示し、自民党から財源問題で攻撃されているのが現状である。

 主権在民の権利行使としてどのような政治形態が望ましいのか選択肢を二つに絞って考えてみる。
 一つは諸悪の根源となっている特別会計の取扱をどうするのか。もう一つは弊害著しい官僚政治をどのように改革するのかである。自民党のマニュフェストでは一応取り上げてはいるが抽象論が多く本格的に取り組む姿勢は過去の例から見て殆ど期待できない。

 一方民主党は一般会計、特別会計を一本化し総予算207兆円を全面組み替えで実行。これによって税金の無駄遣いが抑制され、特別会計の廃止によって天下りが根絶され、増税の前に先ず倹約という国民の期待に応えることが出来る。
 もう一つ、官僚政治の弊害が顕著になっている今日、その根本は閣議前に行う事務次官会議の廃止である。事務次官会議は全員一致を原則とし、その結果を閣議にかけ、全員一致をもって閣議で決定されるシステムで、閣僚は署名するだけの機能しか果たしていない。これでは事務次官会議の一致を通さなければ法案が成立しないことになり、官僚が政治を支配する構図が出来上がっているのである。

 この二つの違いこそが、これからの将来を決定づける重要ポイントであると言えましょう。はたしてどちらの党が国民のために真剣に実現させようとしているか考えるときではないでしょうか。この選択こそが主権在民なのです。それ以後は愚痴や批判は止めましょう。私達が選択した結果なのですから。