張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

「成功神話」は復讐する

 このタイトルは、平成2年当時早稲田大学システム科学研究所講師山田英夫氏が著した著書名である。
 帯のタイトルは「リーダー企業を射止める戦略」で、今日の長所は明日の短所となっています。

 平成21年6月1日、世界一を誇った自動車メーカーGMがついに破綻しました。まさに「成功神話」は復讐することになってしまいました。成功したが故に過去のノウハウや技術に固執し過ぎ、時代の変化、環境変化に対応が出来ず、77年間守り続けた販売台数世界一の座を昨年度トヨタに明け渡していた。

 GMの経営不振は今に始まったことではなく、実は平成17年頃から赤字幅が巨額化し、今日に至るまで回復することなく、昨年度世界中を襲った金融恐慌により一挙に虚弱体質が表面化し、おきまりのコースを辿ってしまった。

 何故負債総額16兆円超を抱えて世界最大の製造業は破綻したのか。

 経営とは環境適応業であると言われているが、過去の「成功神話」に胡座をかき環境の変化を無視し過ぎたことが原因といえる。世界は既に地球環境問題が主流となっており、省エネルギーへの取組如何で企業の命運が決まる時代になっているにも拘わらず、相変わらず利幅の高い大型車に固執し、小型車志向を無視し、省エネに対する技術革新投資を怠り、顧客を無視した結果といえる。

 現実には常に会社に敵対的で攻撃的な全米自動車労組の要求を呑みつづけた結果、GM社員の時給は78ドル、トヨタよりも4割も高くなっしまった。医療費や年金などの負担が原因のようである。この結果、自動車の組み立て生産性はトヨタの半分になってしまった。これでは利益が出るはずがない。

 実際には日本メーカーでは一台当たりの利益が900ドル~1600ドル確保しているにも拘わらず、GMは一台当たり700ドル以上の赤字になっている。これでは造れば造るほど赤字幅が拡大することになってしまう。
GMアメリカ産業のシンボルであるから絶対に潰れないという奢りから、抜本的な対応策がとられず、結果として市場から排除されてしまったのである。新しいGMも前途は厳しいと言わざるを得ない。

 他山の石の喩えどおり、「成功神話」の復讐は、全ての企業に当てはまります。今日の経済危機をチャンス到来と捉え再構築する姿勢が今望まれているのです。