張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

哲人中村天風誕生の原点

 日露戦争が奇跡的勝利で幕を閉じた明治38年。心身共に頑強な軍事探偵であった三郎(天風)はしきりに咳をするようになり喀血した。当時不治の病と言われた奔馬結核に罹り精神力の衰えと共に体が衰弱してきた。
 国内では埒があかず回復を求めてアメリカに密航。この地で希望が適えられずヨーロッパに渡るが解決が得られず心身共に衰弱してしまった。どうせ死ぬなら故国で死にたいと思い、船で日本に向かう途中艦船事故でカイロに足止めをされてしまう。この時大喀血。この様子を見ていたのがヨガの聖者カリアッパ氏であった。氏曰く「おまえは右の胸に、大きな疾患がある。おまえは祖国へ墓穴を掘りに行こうとしている。おまえは死ぬ必要はない。私についてきなさい」と言われ、何の疑問を持たずにヒマラヤの奥地に連れて行かれた。

 ゴルゲ村について毎日顔を合わせているのに20日経っても何も教えてくれない。三郎(天風)は怒ってカリアッパ氏に直訴した。ついて来れば病を治してあげると言いながら何も教えてくれないとは理不尽であると訴えた。カリアッパ氏は何時でも準備は出来ているが、おまえが受入体制が出来たら教えようと思っていたと言われてしまった。
 不思議に思い更に質問すると水瓶を持ってこいと言われ、これに一杯水を差せと言われた。一杯になったら更に一杯にせよと言われ、カチンと来た三郎は、前の水を空けないと次の水は入らないと言い返した。西洋医学を詰め込んだ頭に、新たな知識を得ることは出来ないことを知れと言われてハッとして我に返ったのである。素直な三郎は原理を知ることでめきめき知識を吸収し、ついにカリアッパ氏から免許皆伝を得て、日本で『心身統一法』を広め、会員数百万人に達したのである。

 新たに物事に挑戦するとき、古い知識が障害となって失敗するケースもある。強欲金融資本の崩壊で100年に一度の危機と言われる今日、従来の成功体験が足枷となる可能性が高い。水瓶の水を空にして再スタートする機会を天が与えてくれたと思う心に秘密が隠されているのである。

 我が社の『経営理念』を策定せず、ひたすら戦術に頼っていては根本的な解決は困難であることに気付いて貰いたい。原点は水瓶なのです。今、自分は何をするのかを問い続けることが必要で、決して人頼りの姿勢にならないように注意しましょう。そうすることによってのみ協力者が得られるという現実を理解しましょう。