張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

懺悔の書

 今、一橋大学名誉教授中谷巌の【資本主義は何故自壊したのか】と言う本がベストセラーになっています。中谷教授はかつて規制改革の急先鋒となり小泉内閣のブレーンとして活躍したことで有名です。

 本来、学者とか評論家は自説が違っても、いろいろな言い訳をして自説を曲げないものですが、中谷教授は勇気を持って懺悔したところに価値があるのです。この中で【市場原理主義】が如何に害毒を流してきたか実例を挙げて検証していますので一読して下さい。

 昨秋以来アメリカのグローバルスタンダードの強要による過度な規制緩和がもたらした弊害が世界中に伝播し、100年来の大不況と言われるまでになり、激震が収まる気配すら見えてきません。

 過度な規制緩和は、儲けるためには何をしても構わないと言う精神土壌を作り上げ、摂理を無視した金融工学を駆使してどん欲なまでの利鞘の追求を黙認した結果、バブルの一挙崩壊となったものである。倒産した会社の役員に一人当たり九千万円の賞与を払ったとして問題になったのもご存じでしょう。完全なるモラルハザードです。

 我が国においてはアメリカの年次改革要望書に則り、徹底した規制改革が行われていることはご存じでしよう。この弊害があらゆる分野で負の資産として表面化しつつあります。日本の風土に合わない規制改革を無理矢理実行しようとした付けが回ってきたのです。労働者雇用問題、医療問題、金融問題、郵政民営化等々。この結果、日本の伝統であった思いやりの精神や惻隠の心がどんどん失われています。

 郵政民営化はここに来てようやく問題の核心部分に迫りつつあり、国民もようやく民営化の本質が理解できてきたようです。国民の財産である郵貯簡保の資金350兆円を民営化することによって自由に資金移動が可能になるようにアメリカが仕組んだ要望書なのです。今になって麻生総理でさえ反対であったとか、かんぽの宿の一括譲渡疑惑が表面化してきました。民営化すれば全てが解決するという単純な問題ではないのです。

 また最近では郵便局の利便性が低下している事実が報道されています。まだまだ規制改革の負の資産が表面化してきますので注意深く見守る必要があるでしょう。【改革】は全てが善ではないのです。改革すべきは諸悪の根源である公務員改革でなければなりません。
 もし、企業経営者が理念のない改革を行ったならば間違いなく市場から淘汰されます。