張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

何か変だよ円高不況

 倫理観無き「市場原理至上主義」の横行で、「賭博資本主義」が極限に達した結果、バブルは一挙に崩壊。アメリカに端を発した金融崩壊が、実物経済にまで波及し、今や、大恐慌の前触れと言われるまで、経済システムはガタガタになっている。

 既にバブルを経験している日本の被害が少ないと言うことで、極端な円高に見舞われている。実態は円キャリャリートレードで海外に出て行った円が、日本に戻ってきたのが原因と言われている。

 円高になると必ず言われていることがある。日本は輸出立国であるから円高になると輸出が出来ないとか、1円の円高で、トヨタは400億円の損害、ソニーは40億円の損害と報道され、何の疑問もなく大変だ、大変だと右往左往している。もし、これが本当なら、円高になる度に輸出企業はバタバタ倒産しているはずである。現実はどうでしょうか。倒産していませんよね。間違った報道は鵜呑みにしてはいけません。

 日本は輸出立国と言っているが、実際の輸出割合は最近多くなったとはいえたったの15%程度なのである。後の85%は内需で賄っている事実を理解して欲しい。また、日本は資源小国で、全てを輸入に頼っている。と言うことは円高になれば、国内ではもの凄い円高メリットが生まれるのである。そもそも自分の持っている貨幣の価値が上がったと言って不安に思っている国民は日本だけである。

 輸出企業の財務担当者は、円安・円高による為替リスクを、手を拱いて何もしないでいるのだろうか。もしそんな財務担当者がいたとすれば即刻解雇されてしまう。為替が固定相場制から変動相場制に移行して以来、リスクのヘッジは財務担当者の腕の見せ所である。
 為替変動が当たり前の時代では、為替リスクを回避するため、様々な手法が開発されている。例えば「先物為替予約」とか「為替マリー」とか「外国為替保証金取引」等々。財務のプロであれば、安全確実な方法を駆使して、為替差損益を最小限にするため工夫している。だから、円高になっても輸出企業は倒産せず、かえって増益決算を実現しているのである。

 従って、円高不況を聲高に言うのは、勉強不足か、何かの意図があると思って間違いない。
 事実は、常に両面から見る習慣を付け、どちらが主流かを見極める脳力開発を利用してみませんか。