張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

製造業の安全装置

 未曾有の金融不安が実体経済を直撃、あらゆる分野で大幅な減収・減益のニュースが報じられています。企業は生き残りを賭けて、徹底したコスドダウンを実施するのは自然の勢いです。

 しかし、このコストダウンも戦略的に実施しないと思わぬ失敗を招きやすいので注意が必要です。
 昭和48年の第一次オイルショックで輸入が制限され、価格が一挙に倍になり,各企業は一斉に守りに入ってしまいました。
 トイレットペーパーや洗剤が不足するというデマを信じた消費者が買い物行列を作ったニュースをご存じでしょう。あの銀座のネオンも全て消えてしまったのです。
 企業内では徹底した消灯運動や文房具の節約が行われ、短くなった鉛筆を背中合わせにして使った記憶もあるでしょう。徹底して実施した企業の経営はその後上手く行ったのでしょうか。答えは否です。
 チマチマした経費まで削減している内に、企業内部ではマイナス発想が強くなり、社員の意欲が沈滞し、結果として減収・減益の悪循環にはまってしまったのです。

 何故なのか、コストを戦略的コストと通常コストに明確に区分せずに、何が何でも削減するという間違った判断をしてしまったからです。戦略的コストはよほどのことがない限り削減してはいけないのです。逆に増加させる姿勢で生き残りを賭けるのが本物経営者の姿勢なのです。戦略的コストには研究開発費、広告宣伝費、企業に付加価値をもたらす情報費用なとが代表的です。

 もう一つ忘れてはならないものに外注費があります。売上が減少してくると,今まで外注に出していた仕事を内作に切り替えようと考える経営者がおります。確かに短期決戦ならば有効ですが、戦略的にはすすめられません。

 何故か、全てを内作で賄うとコストが増加し,経営が腰高になってしまい景気変動にもろくなるからです。本来、外注政策は景気変動の安全装置として考えるべきで、景気変動の危険を外注先に負担して貰えるからです。
 もっと利点があります。我が社より規模の大きいところを選択することによって、納期管理から品質管理まで行って貰えるからです。また、外注することによって我が社の固定費が削減され、売上高と外注費の差額が即純利益になり、増益の原因になるのです。
 確かに付加価値率は低下しますが、経営の実態は率ではなく実額なのです。率に頼っていては経営は困難になります。外注政策を見直しましょう。