張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

ビスマルクの教訓

 かつてドイツ統一を成し遂げた鉄血宰相ビスマルクは「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という教訓を遺しています。

 アメリカ発の世界金融不安が実体経済にも波及し、中小・零細企業にも激震が起きている今日、焦りは禁物で事態の推移を冷静に掴み、飛躍のチャンス待つべきです。

 1929年の株価はピーク時の380ドルから42ドルまで大暴落し九分の一になってしまいました。それまでの経済理論は、アダム・スミスの提唱した「古典派経済学」で、主旨は(神の見えざる手によって云々)で、皆が自由にものを作って、自由に取引すれば、経済は全て上手く行く。と言うもので、これを過度に信じた結果が、あの大暴落でした。

 この経験を元に誕生したのがケインズ経済学です。国民が疲弊しているときには、国家が経済への積極的介入を行い、需要を創り出すというもので、経済的混乱を見事に解決しました。しかし、これが行きすぎると必然的に(大きな政府)となり、財政赤字が増加し、国家そのものが危機に陥ってしまいます。

 これを修正するための経済理論が「新古典派経済学」で、政府の規制を撤廃し、市場は自由に任せ、結果は全て自己責任で対処するというもので「小さな政府」の実現をめざすものです。レーガン大統領がこれを実行したことはご承知のとおりです。
 しかし、これが行きすぎた結果(賭博資本主義)となってしまい、今日の大混乱を招いてしまったのです。ビスマルクの教訓を全く学んでいないか、あるいは強欲がこれを無視してしまったのか、その付けはあまりにも大きすぎるのではないか。

 これを修正するために行われるのが再びケインズ経済学の思想を取り入れた経済政策です。政府が必要な規制を強化してコントロールする方向です。既に20カ国サミットで、金融規制、格付け会社規制等が決定され、規制緩和から規制強化に流れが変わりつつあります。

 日本のバブルは回復まで10年以上必要でした。今回の激震が回復するまで最低でも3年~5年が必要と言われています。但し、戦争が勃発すると事情は変わり、早まります。
 経営者はビスマルクの教訓を活かし、今後の経営の舵を取りましょう。