張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

書籍ベストセラーの怪

 活字離れが進んでいると言われて久しい。今週のベストセラー第6位に付けているのが「長谷川慶太郎の大局を読む」である。発行日が10月19日初版。タイトルの帯には「新しい現実を見逃すな」と書いてあった。

 長谷川先生のフアンなので、殆どの本を読んでいる。しかし、今回だけは、何故本が売れなくなったか、その原因が分かったような気がする。
 「新しい現実を見逃すな」と発行日から推察するに、世界同時不況に対する最新の解説を先生独自の鋭い切り口で書いてあると信じていた。

 10月23日現在、ヨーロッパ各国の金融不安対策として、公的資金の投入決断に押されて、米国でも金融機関に対する大規模な公的資金注入が決定されている。にもかかわらず、本の中では、米国の国民感情から見て、公的資金の直接介入はあり得ないと書いてある。おそらく原稿は7月~8月に書いたと思われる。

 世界経済が激変している今日、古いデーターには価値がない。良心的な出版社ならば、原稿の中身が現実と違ってきている場合、修正して出すべきである。

 出版社は「李白社」。多分、先生の名声を利用して儲け主義に走ったと言われても仕方のない内容である。古い内容が織り込まれている本が、「長谷川慶太郎」というタイトルが付いただけでベストセラーになることは、読者を無視した行為であり、このような姿勢が活字離れの遠因になっていると思う。
 また、最近復刻本がタイトルを変えて出版されている。新しい本と勘違いして買ってしまうことが度々ある。本の最後に、この本は以前に出版したものです。と書いてある。なんか詐欺にあったような気分で、不愉快である。
 儲けさえすれば良いという風潮が蔓延しているが、もっと「良心」を信じようではありませんか。