張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

賃率(レート)の使い方

 金融不安が、実体経済に影響し、あらゆる業種で減収・減益が続出しています。前にも書きましたが1929年の恐慌時には株価がピーク時の6分の1まで急落しました。当時はブロック経済が中心で、各国協調というシステムが無く効果的な手を打つことが不可能な時代でした。

 今日ではマスコミで報道されてご承知のように,主要各国が危機を乗り切るため,協調介入を積極的に行って,悪徳投機筋の行動を未然に防止する態勢を整えつつあります。従って,株価が2分の1になったからと言ってうろたえる必要はなく、泰然自若で,時を待つ姿勢が求められています。

 このような時代では、売上を増大させるという発想ではなく、如何にしてお客様に買って貰えるかという姿勢で臨むことが必要です。
 その為にはどうするか。効率よく買って貰う仕掛けが必要です。売上を上げたいばかりに,お客様の言うままに販売しては利益を確保できません。その仕掛けとは,我が社の賃率(レート)を常に把握して、必要賃率以下の要求にはなるべくこたえない努力をすることです。これを無視すると、増収・減益の危険があります。

 賃率とは,既にご承知のとおり、人件費を含む固定費総額/直接工の稼働時間で計算します。一般的に、企業が生き延びるために必要な賃率は、一人1時間当たり5,000円です。損益分岐点の賃率はこれより低くなりますが、企業によってバラツキがあります。注文に対して採算が合うかどうか,この賃率で比較してみましょう。

 賃率計算の前提は,各行程の作業時間管理が不可欠です。案外、この大切な作業を,現場が嫌がるとか,面倒くさいとか言って実行していない会社が実在します。この製品は,何人で,何時間かかって完成したかの管理は,製造業として解決しなければならない重要問題です。もし、実行していなかったら,明日にでも作業指図書に記入するよう命令するのがトップの仕事です。現場の声を聞いて,無視するようなら指導者として問われる事になります。