張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

覇権国の責任

 先日、一旦合意したかに見えた70兆円の公的資金投入議案が否決され、世界経済は大混乱に陥っている。まさに、1929年大恐慌の再来ではないかと、不安が世界中を駆け回っている。

 否決の原因は、暴利をむさぼり、数十億円という多額の報酬を得ながら、経営が行き詰まったので税金投入で救って欲しいという虫の良い話に、二極分化が極端に進行している国民から猛反発を受け、これに阿った議員が反対に回ったためである。

 国民感情としては同情すべきであるが、基軸通貨を持った覇権国がとるべき道ではないことを米国民は冷静になって判断して貰いたい。

 そもそも事件の発端は既にご存じのとおりサブプライムローン破綻が原因である。
 返済困難な低所得者に、不動産の値上がりを大前提に融資を行い、住宅バブルを誘発させてしまったのは米国の金融機関である。この金融機関は金融工学の手法を駆使して、ローン債券を証券化し、高利回りをうたい文句に世界中に販売した。

 このときの確信犯は格付け会社である。毒の入った饅頭をトリプルAと偽装して格付けしたため、日本を除く世界中の金融機関が高利回りに惑わされて購入してしまった。特にヨーロッパの金融機関の被害は甚大である。これが賭博資本主義の実態である。
 毒入り饅頭であることがばれたら証券化された債券は、一挙に暴落し、「負の連鎖」が世界中を覆い尽くす。
 我が国がバブル崩壊で投入した公的資金は約40兆円であると言われている。自分でまいた種は自分で刈り取るのが筋である。

 米国は証券化債券を世界中に売却した当時は、莫大な利益を上げ、我が世の春を楽しんでいたはずである。ところが、バブルがはじけて火の粉が我が身に降りかかってきたら、途端に責任は負いませんでは、覇権国として無責任である。なんとしてでも世界経済安定のため、公的資金投入法案を大至急成立させるべきである。