張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

経営者の錯覚について

 先日の土曜日、次期後継者に内定している30代前半の若者から、今後の経営について、相談に乗って欲しいと依頼があったので、約2時間近く、理念型経営の重要性についてお話しした。これに関連して「戦略」、「戦術」の話を、歴史問題と時事問題の事例でお話しした。

 理念型経営の手順は第一に「理念の確立」、第二に「理念実現のための方針の確定」、第三に「方針を実現するための具体的数値を入れた経営計画」と言う具合に、システムとして捉える必要があることを強調しておいたつもりであった。
 二時間近くの説明に対して、不思議なことにメモを一切取らなかったことである。この青年は頭がよいから全て理解していると感心していた次第である。

 ところが月曜日になって、突然、売り上げ目標を7億円に設定したのでシュミレーションを行って欲しいと連絡してきた。あれだけ順序立てて説明したのに、何も分かっていなかったことに少々ショックを受けた。
 売り上げ目標云々の前に「理念の確立」それを実現するための「方針書の確立」が大前提であることをすっかり忘れてしまい、戦術である「経営計画」の作成を依頼してきたのである。
 これでは「戦略のない戦術は必ず失敗する」と言う喩えにはまってしまうから、作っても無駄になってしまう。
 聞くところによるとあちこちの経営セミナーに参加して、情報を集めているようであるが、セミナーでの話は他社の成功事例であり、自社には参考となることはあっても、そのまま採用すると失敗すると言う事を知らないようである。
 我が社の経営は、他社の成功事例を参考としつつも、あくまでも独自で開発したものでないと本物のノウハウとはいえないし、永続的な発展は望めない。
 安易に他社の「戦術」を真似て、手軽に経営が出来ると思いこんでいる後継者が散見されるので、原点復帰を考えて貰いたいものである。