張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

理念なき組織は腐敗する

 イージス艦衝突と言う不幸な事件から40日以上が経過した。この間、防衛省は関係者の処分を発表し、一件落着したかに見える。しかし、何故今回のような事件が起きたのか、その根本原因を検討する議論が皆無であったような気がする。

 我が国の軍事力は性能面から比較すると、アメリカ、ロシアに次いで世界で3番目と言われている。(ウィキベティア)海洋国家日本の海軍力は性能面ではアジア1位である。特にイージス艦は5隻も保有している。

 イージス艦とは、ご承知のように、「遠くの敵機を正確に探知できる索敵能力、迅速に状況を判断・対応出来る情報処理能力に優れている」と言われている。最新鋭の情報艦が何故能力を発揮できず、身を以て守るべき国民を犠牲にしてしまったのか。

 憲法第9条の本質をまったく変更せず名目だけ防衛省に格上げし、依然として交戦権さえ明確でない組織では、何回でも今回のような事故が発生する。
 防衛省とは外国からの侵略行為に対して国民の生命・財産・安全を保証する為の組織である。侵略行為に対しては当然交戦権を保有している。ところが、実際には相手が侵略してからでないと抗戦してはいけないとか、国内を異動するには地方公共団体の許可がいるとか、諸々の縛りがあって、実践には役立たない組織となっている。国を守るために、能動的な交戦権の行使という理念の確立があって、初めて組織は機能する。この理念の欠如が、官僚的な組織を作り、目的のない惰性で行動する姿勢を作ってしまっているのである。

 今の組織は災害復旧という全く受動的な作戦には適しているが、能動的な作戦には不的確である。だから過密地域であるにも拘わらず艦長が仮眠とか、こんなに漁船がいるとは思わなかったとか、雨が降っていたので見張りを中止したとか、直前まで全く知らなかったとか、企業の組織では即倒産である。全く理解できない言動が、何の違和感もなく報道されているのである。今後の事故防止のためには、枝葉末梢の対策ではなく、自衛権の行使という本質論からの検討を行うべきである。
 世界で何番目とか、武器の性能を誇ってみても、それを運用するシステムが憲法第9条で縛られているとすれば、直ちに改正するのが根本ではないのか。