張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

諸悪の根源は特別会計にあり

 過日、道路特定財源から支出されている職員の宿舎建設費や福利厚生費として流用されている諸経費について、担当大臣と担当次官が、法律に基づいて支出したもので適正な行為であると平然と述べているシーンがあった。違和感を覚えたのは小生だけではあるまい。
 担当大臣は庶民の味方として組織している宗教団体を母体としていることはご承知のとおりである。庶民の味方であるならば、喩え法律がどうであれ、国民から預かった税金をこのような形で流用したことに、国民に向かって申し訳なかったと素直に言えなかったのか。厳しく言えば、あの言動は国民を裏切る行為であった。
 そもそも、特定財源を流用しても良いという法律は一体誰が作ったのか。その経緯を逐一国民に周知徹底させていたのか疑問である。この法律作成に賛成した議員の氏名は公表されるべきである。
 特定財源の流用で問題が大きくなったのは、ご承知のとおり預かった年金を箱物に転用したり、福利厚生に利用したり、挙げ句の果ては横領までしていた事実が、国民の前にさらされたことは記憶に新しい。これらはいずれも氷山の一角と考えられる。
 諸悪の根源は特別会計にあり。
 かつて塩川大臣が、母屋ではおかゆをすすり、裏ではすき焼きを食べているといみじくも言い切ったように、今日、一般会計と特別会計は分離されて、一般会計の約80兆円は国会審議で国民の目にさらされているが、230兆円に及ぶ特別会計は殆ど国民の目にさらされないままになってしまっている。一般会計の約4倍もの予算が各省庁の自由になっているきらいがある。そうでなければ不祥事や国民に理解できない流用は起こりえないのではないか。
 民間企業の連結決算制度を採用し、特別会計を一般会計に連動させ、全てを国会審議にかけて、国民の目の前にさらさなければならない。
 我が国の財政民主主義の予算原則では、予算の内容が明瞭且つ正確で、しかも全ての国民・住民に公開されなければならない、と言う憲法の精神が規定されていることはご存じしようか。
 はたして今の特別会計はこの精神に照らし合わせて合格しているでしょうか。特別会計が明瞭且つ正確で、全ての国民に公開されていれば、不祥事は起こりえないし、各省庁の独断は防止できるばかりではなく、国民は納得して政治に参加しつつ、不足の財源については積極的な対応が可能になることは言うまでもない。
 評論家的な政治家は不要。今、求められているのは、原点に返って憲法の精神を生かし切れる政治家が必要なのである。
 今日の各種の議論は、あまりにも戦術論に偏し、戦略を忘れているために起こる議論であることを忘れないで欲しい。