張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

便乗値上げの横行?

 原油相場が相変わらず乱高下しています。1バレル100ドル前後、これに伴い最近原油に関連した商品が軒並み値上げ傾向となり、レギュラーガソリンはついに150円を突破してしまいました。国民の誰もが値上げに不満を持ちつつ容認している状態です。

 本当にそうでしょうか。次の事実をご存じでしょうか。
 我が国の石油備蓄は、「石油の備蓄の確保等に関する法律」で、国家備蓄は約170日分、民間備蓄は70日分と法律で定められています。1バレルは159リットルで約100ドルとして計算しますと1リットルの原価は69.2円です。小売りは150円ですから、原油の2.5倍の売値となっています。

 民間備蓄だけでも2ヶ月分以上の在庫を常時抱えているのに、原油が上がったとたんに連続して値上げに踏み切っている姿勢は、上記の事実関係から見ても便乗値上げと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 期末在庫の評価方法に後入れ先出し法とか、先入れ先出し法という方法が会計上認められています。決算期末に残っている在庫の評価について、後から仕入れたものを先に販売したという仕組みで行うのが(後入れ先出し法)、先に仕入れたものを先に販売したという仕組みで行う方法が(先入れ先出し法)と言います。
 後から仕入れたものを先に販売する方法では、仕入れ単価が上がる傾向の時は確かに売価が高くなります。しかし、備蓄としての在庫は安いときの評価のままですから含み益が膨大になります。

 一方、先に仕入れたものを先に販売する方法では、仕入れ単価が安いときのものを販売することになるので、備蓄期間に相当する原油は、本来安いはずです。いずれの方法をとってみても、原油価格が上がったからと言って数次にわたっての値上げは、明らかに便乗値上げと言わざるを得ない。この間の説明責任について、マスコミは追求していない。変ですね。
 今回の異常高騰の原因はゴールとマン・サックスの思惑にあると言われているが、時期が来れば投機資金は他に向かい、原油は正常値の1バレル40ドル前後に落ち着くと言われている。
 このような事態に逆回転したとき、直ちに値下げに踏み切る企業はあるのだろうか。経営姿勢を見極めたいものである。