張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

円高不況という偽装

 偽装とは、他のものとよく似た色や形にして人目を欺くこと「広辞苑」と定義されています。
耐震偽装に始まり、今やあらゆる業界で偽装が蔓延しており、経営者の倫理観は完全に地に落ちています。儲かれば何をしても構わないと言う歪んだ考え方が横行しつつあります。根本原因はグローバルスタンダードの名の基に、我が国の良き伝統をまったく無視した行きすぎた規制緩和にあると考えられます。

 サブプライムローンの破綻に端を発したアメリカ経済の減速がドル安・円高を招いて、マスコミはまたもや円高不況を煽っております。本当に円高不況はあるのでしょうか。本当は円高が不況の原因であると偽装していると考えられます。
 「脳力開発」の思考方法の一つに(物事は常に両面から観察し、どちらが主流かを考える習慣)というものがあります。
確かに輸出企業にとって円高はマイナスです。マスコミは1円の円高で大手の輸出企業は数百億円の損失であると書き立て不況感を煽っています。しかし、輸出企業であれば為替変動による危機管理は資金担当のプロとして、当然リスクヘッジしているはずです。リスクヘッジが出来ないような資金担当者は不要です。現実は円高による差損をカバーするだけのリスクヘッジは行われています。物事は両面から観察しないと、間違った判断を誘導してしまいます。現実に、円高で輸出企業が赤字転落して倒産したという話は聞いていません。

 円高は日本国というマクロで見れば収支はトントンです。
 日本は資源小国、輸出立国であることは紛れもない事実です。資源の殆どは輸入に頼り、輸出で稼いでいると誰でもが思っています。だから円高になると不況になると思いこんでしますのです。
 2006年の輸入実績は62兆円、輸出実績は71兆円です。輸出はGDPの15%程度で、残りの85%は国内で消費されているのです。だから円高になれば輸入資源が安くなり、輸出のマイナス分はリスクヘッジでカバーしているので、現実には円高で景気は良くなるのです。
 自分の持ち物の価値が上がって不況だと言い大騒ぎするのは日本だけです。先進国では通貨価値が上がれば輸入品が安くなると言って国民は大喜びしているのです。何処か変ですね。

 かつて、1ドルが360円の時代がありました。今は三分の一以上の円高です。それでは輸入品の価格はどうなったでしょうか。外車は三分の一になりましたか?ブランド品は三分の一になりましたか?円高による儲けは全て流通業者等に入っているのです。だから円高のメリットを享受するために銀座に有名ブランドが出店しているのです。儲かっている人は絶対に儲かっているとは言いません。不勉強なマスコミは円高で損をしていると大声で叫んでいる方向を向いて記事にしているだけです。
 国民に真実を伝えない手段は、偽装とは言えないでしょうか。
 マスコミの一方的な報道に左右されず、常に両面から観察し、どちらが主流であるかを考えて行動する習慣を身につけましょう。このコツは経営判断にも役立ちますから、身近なものから実行してみて下さい。