張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

行き過ぎた規制緩和の悲劇

先日、奈良県で妊婦が10数件の病院をたらい回しにされている間に死産という悲劇が報道された。マスコミは病院側の対応だけに焦点を絞って非難合戦を行っているが、問題の本質は別のところにあることを知るべきである。
 10数年前からグローバリズムの名の下に、市場原理主義が横行し、規制撤廃すれば全てがハッピーであるかの如く吹聴され、規制は悪、市場原理が善という思想が出来上がったしまった。
 規制緩和の根本思想は「事前規制」から「事後規制」への大転換である。「事前規制」とは、法律や規則によって、あれをしてはいけない、これをしてはいけない、と言うことを明文化し、それらに違反した場合は処罰を与えるものであり、「事後規制」とは、原則は全て自由です。問題が起これば全て自己責任で解決して下さい。というもので、政府は責任を持ちませんから、全て自己責任でやって下さい。それで解決できなければ、裁判制度を改革し、弁護士数を3倍に増やすましからそれで解決して下さい。・・・これが規制改革の本質なのです。
 はたして医師の数は減少しているでしょうか。総体的には増加しているはずです。では何故でしょうか。医師の移動を自由化した結果大都市に集中したため、地方に医師が少なくなってしまったのです。このため総合的な対応が出来ずに今回の悲劇を生んでしまったのです。
 医師は崇高な職業で、あらゆる法律で優遇措置が講じられています。これらの優遇措置は、反面、医師の義務として捉えるべきで,人口当たりの配分計画にある程度はやむを得ない措置として受忍すべきであると一般国民は考えています。
 行きすぎた規制改革によって,中央と地方の格差、貧富の格差、精神の荒廃等々あらゆる面で問題が顕在化してきている。日本国民の資質にあった方法で再構築すべきではないのか。
 政府は引き続き構造改革を続行すると言っているが,国民のための真の構造改革とは何なのかという命題に真剣に取り組んで貰いたい。
 構造改革一辺倒で真に国民のためにならない改革派の頭の中の構造改革を先ずやって貰いたい。