張子房塾

経営者の皆様を対象に経営塾を開設しました。今までの経験を中小零細企業経営者支援に全力投球します。

西施

 紀元前500年頃の中国のお話しです。歴史に残る呉越の戦い。越の王勾践は呉の王夫差との戦いに敗れ大きな屈辱を味わいました。再起を誓った越王勾践は呉王夫差を倒すために出来る限りの戦略を練り上げました。その一つが越王勾践の参謀であった笵蠡(はんれい)の提案した「美人の計」です。

 最強国の呉王夫差を倒すには武力ではとてもかなわない。内部から崩壊させる方法として選ばれたのが絶世の美女として評判の「西施」です。「西施」は笵蠡の愛妾でしたが呉王夫差を腑抜けにするための秘策を授かり呉王夫差に侍ります。時がたつに従い西施は持ち前の美貌と色香で呉王夫差を虜にしてしまい、次第に夫差は政治を疎かにして西施と過ごす時間を増やしていきました。また、財政破綻を起こさせるために贅沢三昧を要求したのです。やがて国力の低下を見越した越王勾践は呉王夫差との戦いに勝利し、復讐を遂げたのです。
 目的を達した西施は自害したとも伝えられています。その後西施の名に因んで杭州世界遺産が「西湖」と名付けられました。また、西施は中国の四大美人としても有名です。
 「呉越同舟」、「臥薪嘗胆」などは今でも使われています。ちなみに日本女性の和服を呉服というのは「呉の国の服」から来ていると言われています。使命を帯びた美人の悲劇として今でも語り継がれています。

 時は下って平成30年4月の日本。
一年以上にわたって国会を混乱させているいわゆる「モリ・カケ」問題。震源地の財務省から特ダネを得ようと報道各社は美人記者を社命で張り付かせていたことが判明し、セクハラ問題として報道機関や野党が大騒ぎしています。
 社命で確実な裏付けを取るためには密着取材が一般的です。何回にも渡り夜のバーで男女が二人きりで飲食すれば普段とは別の感情が生まれても不思議ではありません。酒の上での会話で身の危険を感じたから本人の了解なしに録音したり、取材記事を他社に横流しする行為は違法ではないのか。これを放置すると二度と情報は取れなくなる。
 これらの報道倫理を一向に問題視せず個人攻撃に終始している姿勢は如何なものか。
 上司に報告しても対応してもらえなかったと言っているが、部下がセクハラで困っているのに何の対応もせず、事件が明るみになってから釈明するようでは社会の木鐸とは言えない。
 マスコミの本質を見抜いた人たちの無言の抵抗が発行部数や視聴率の低下となっていることを理解してもらいたい。

 もし、美人記者がセクハラで危険を感じたならば二度と会わない選択もあるはずである。それもせずに何回も合っていたのは、もしかすると阿吽の呼吸が生まれていたと錯覚を起こさせたのかも知れない。事務次官は裁判を起こしても身の潔白を明からしたいと言っているのは、一方的な会話録音の裏に美人記者の会話があり、文脈を通してみれば相思相愛の感情が錯覚で有っても生まれていたかも知れない。
男女の関係は、動物行動研究家でエッセイストの竹内久美子の本を読んでみたらどうでしようか。一面、トンデモ作家と言われていますが、人間も動物の一種であることが理解出来ます。